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鳥居の無い神社 救命犬伝説を骨で聴く

「鳥居がない神社はない」と、断定することはなかなか出来ませんが、一般に神社と鳥居はセットといえます。
地図の記号も鳥居の形が神社をあらわしているくらい、鳥居は神社のシンボルといえます。

鳥居は、下界と神域の境界にあり、まさに聖なる空間への入り口という役割になります。ただ、鳥居の起源については諸説あり、未だ解明されていないようです。古代ユダヤとの関係まで遡る説から、鳥が神さまの乗り物だったことから、鳥居が「鳥の象徴」だという説など、古代神道のミステリーともいえるかもしれません。

そんな鳥居ですが、実はないことで有名な神社があります。
さいたま市の調神社では、七不思議の一つに数えられています。倭姫命の命で、調物の運搬の妨げとなる神門・鳥居を除いたという伝説が残っています。

もう一つご紹介します。
太田市の賀茂神社です。

かなり地味な神社ですが、今回はこの神社の伝説とあわせて、周囲の音声を骨伝導で聴いてみることにしました。

日光例幣使街道沿いにある神社です。
この街道は徳川家康の没後、東照宮に幣帛を奉献するための勅使(日光例幣使)が通った江戸時代の街道です。
太田市のこの地域は北関東道の太田桐生インターに繋がるバイパスが横切っていて、賀茂神社もバイパスからわずかに入った地点に鎮座しています。そのためクルマの交通量はかなり多い場所です。

本当に鳥居はありません。
鳥居があるべき場所に2本の柱が建っているのにそれが繋がっていないため、未完成か、破壊された後の鳥居の印象を受けます。

「鳥居のない由来の碑文」がありますので、引用させて頂きます。

徳川のむかし、京都を発した日光御礼参の例幣使の行列が道中の安全祈願をかねてしばらく賀茂神社の境内で休んでいる時、にわかに一匹の犬が激しく吠えはじめた。不審に思った供侍が吠えたてる犬を追い払おうとして何度も何度も制したけれど犬はなお激しく訴えるように吠えたてて逃げようともしなかった。怒った供侍はとうとうこの犬を切り捨ててしまった。すると意外なことに胴をはなれた犬の首は空に飛び上った。あれよと人々が見上げると犬の首は鳥居の上の大蛇に噛みついた。たまたま鳥居下に休んでいた例幣使に犬は大蛇のいる危険を知らせる為に盛んに吠えたのだった。例幣使は自分を助けようとして吠えたことがわかった。このため日光から帰ってくるまで犬の供養をして塚をこしらえておくようにいってこの神社を去った。
そこで犬を供養しその上に石尊様をまつった。この為村では鳥居があったので蛇がそこへあがったということで神社の鳥居をはずしてしまい今もないのだという。また、はたし(機織機)にも鳥居がついているため正月には鳥居を出さないということで正月中は機を織ってはいけないといわれている。

観光地でも何でもないので、この伝説を除くとこの神社の情報は何もありませんでした。
祀られている神についての情報もありませんでした。
一般に賀茂神社は、賀茂別雷命を祀る賀茂別雷神社、賀茂建角身命・賀茂玉依姫命を祀る賀茂御祖神社の二系統に分けられますが、ここはどちらかも分かりませんでした。

周囲の音といえば、やはりクルマの音です。
聖域との境界に本来あるはずの鳥居が、仮にあったとしても、現代では騒音環境に影響はしません。そんなとき、耳だけでなく骨からも聞くことができる骨伝導ヘッドセットは、やはりここでも貴重です。

鳥居の無い神社にて、救命犬伝説を骨で聴きました。

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